くだらない所までのぼりましょうか。

画【BigBrother】

「善き事の為、と人は言う。
 見えないブラザーが保護者の様に君を見る」
(核P-MODEL/BigBrother
 あるいは、ジュージ・オーウェル1984」)


 *


彼は言いました。
「作法の違いを除けば、露骨な善意も悪意も、ほとんど同質なんです」
そうして床に新聞紙を広げ、その上で大切にしていた湯飲みを金槌で細かく砕き、
ふと立ち上がると風に吹かれるように庭先へ歩いたと思うと、
湯飲みの破片を御影石に混ぜ込んでしまいました。
その鼠色の猫背をあまりに曙光が撫でるので、
スコップを握ったまま彼は孤児になっていました。