田んぼに脛毛を植えていたら天突く怒髪の裁判員に囲まれて葛湯を飲まされました

画【餌食】


曲【gyrocorpse(ジャイロコープス)】
http://voon.jp/a/cast/?id=7l2yz5qg&c=9


―――雁が生八ツ橋の形相で青天井を嘗め回す夕方。
ミミー・アナはハロゲンヒーターにスモークベーコンを隙間無く貼り付けていた。
「価値っては、信仰者に対してしか意味を成さないんだよ」
その譫言を聞きながら、カッポジッテは歯ブラシを動かし続けた。
「それが神や道徳であれ、金や欲望であれ。ね」
ハロゲンヒーターの電源スイッチを入れてから、ミミー・アナはヒンズー・スクワットを始めた。
「ダンド・バイタック(罰する座り方)」
口から泡をダラダラと垂らしてカッポジッテはニタニタと笑った。
ミミー・アナが少し不快な表情で”帰りの歌”をうたいだすと、
町中では自家製の走馬灯が回る音で溢れ返って、
それから二人は猪の臍の緒になって(これまでのどんな絵空事よりも!)真剣に遊んだ。―――

 (『ミミー・アナとカッポジッテ 〜ヨーク・キルケの失業〜』第2章より)