差別偏見暴力搾取が好きで好きで堪らない亞農奴で下層土人で黄毛猿な私たちで作る愛と真実と平和の世界

画【跳梁×子とアシダカ先生】


曲【鈍瞎のメヌエット
http://voon.jp/a/cast/?id=p4ew5qmv&c=1&t=1


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都内某保健所にて。

「宣誓!
 カオもカネもコネも才能も環境も素質も資源も希望も論理も意気地も危機感も脳味噌も無いが為に
 何をやっても過労の徒労、骨折り大損、草臥れ富豪の不幸自慢、人偏に愚と書いて我々と呼びます、
 この悉く無駄な我々は今生の奴隷根性に則り、今後も惨めな日陰の人生を送り続ける事を、ここに誓います!」
農奴の黄色猿。

「静かにしてくれないか。私たちは、ただ楽しく暮らしたいだけなのに」と首輪を付けた黒犬。

灰色鼠の商人が畳み掛ける。
現代日本において、高邁な理想を持つ哲人や英知の悟性を持つ聖人などという道徳的模範は、
 最早時代遅れであり役に立たないので御座います。
 それらは選ばれた、特別な、限定的な存在でしか有り得ません。
 今の時代『私は正しい』『私は善い』『私は真実を知っている』『私は正義である』
 等と何の疑いも無くのたまう輩は、カルト狂信者かキチガイの類であると断じて差し支えないでしょう。
 自他に対して慎重に仮定と検証を繰り返し、停止せず、永続させず、
 猜疑の目によって正当性と整合性の精度を追求して努力し続ける姿勢こそ、真の誠実さというものです。
 では現在、市井の我々に必要な規範とは何でしょう。
 ”下種の自覚”です。
 我々は、自らが思っているよりも下種な生き物であると自覚し続けることです。
 それによって、自己愛と自己批判、他人への警戒と敬愛など、矛盾する習慣を合一へ導く事が出来ます」

寝転がって白豚が唾棄した。
「てめえら程度の低い連中は何も考えず俺様の為に働いてりゃいいんだよ」

職員たちが入ってきて、皆をガス室へ入れた。
「かわいそうだな・・・」
「慣れる事なんてないよ」

スイッチが入り、赤いランプが点滅し、いくつかの断末魔が煙のように消えた。

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■構想

『Mimy-Anna and Coppogitte』

・Ondreno-Silly-anna(御奴隷・尻・穴)
 亡国から亡命した未亡人、アンナの母。違法事業で生計を立てている。

・Ondreno-Mimy-Anna(御奴隷・耳・穴)
 春機発動期にして冬の時代に臨む少女。卑劣、傲慢、無思慮。

・Coppogitte(闊歩義手)
 アンナが下種な慈善心を満たす為に連れ回している義手のルンペン。

・Yorke-Cicero(羊狗・希経路)
 期間労働をしながら放浪する男。内省的で迂闊な好青年。

*Iwakikami(岩城神)
 イワシロ様と呼ばれる聾唖盲の巨人。雄は”恐怖”、雌は”不安”と呼ばれている。
 普段は地中に棲み、人間を食う。不用意に近付くと取り囲まれる。 一般的に言う「恐怖に狩られる」「不安に狩られる」とは即ち死を意味する。