だって、悲惨な過去による心の闇の深層の内なる声が万能神となって新世界の啓示を囁いたから(嘲)

曲【あなたとわたしがつくる愛と平和の世界(仮)第一番(デモ)】
http://voon.jp/a/cast/?id=ipn71dpn&c=1&t=1


生き埋めの馬が睨む百舌の早贄
ぬばたまを噛み潰す嬰児の疑問符
花時計の風下に”ハズレ”の卒塔婆
白熱灯で燻す小便の香りが似合う

走れば足元掬われる 歩けば遅いと殴られる
肥溜め広場であなたとわたしが引っ張り合う足枷
休めば弱いと足蹴され 戻れば「馬鹿だ」と燃やされる
ドブ板の裏であなたとわたしが叩き合う毎日

ノウゼンカズラに日影を焼べて
玉なす涎で穴を射る
破顔の家族を尻目に措いて
「楽にならざり」と打つ手も鳴らず


 *


「絵描きになりたかったんです。絵だけはずっと続けてきました」

容疑者が供述を始めた。

〔落書き続けたからって売り物レベルになるわけでもねえだろ(嘲)〕

取調官は記録を始めた。

「でも駄目でした。芸大に行けるような経済的余裕も体系的技術も芸術的感性も無かったからです。
 それらを覆す才能も無ければ、喰らい付く執着心もありませんでした」

〔要するに諦めただけだろうがゴミカス(嘲)〕

「自分が、自分の作るものが世界の誰一人にも受け入れられない、という絶望をあなたは知らない」

〔知りたくもねえよ(嘲)僕は生まれ付きイケてるからな(嘲)公務員だし(嘲)〕

「そこで、詩や小説を書きました。文章なら幾らやってもお金はかかりません」

〔きもいよお前(嘲)しかもケチ臭え発想(嘲)貧乏は懐だけにしとけ(嘲)〕

「でも駄目でした。物書きは最低限有名大学の文学部で学ばなければならず、ましてやマイナーな詩となれば、
 ネットで有名だったり朝廷名家の御曹司でもなければ話題性に欠け、売れる事は出来ません」

〔んな当前の事も知らずに物書きなれるかよ(嘲)無教養者のブンガクほど無益なもんはねえよ(嘲)〕

「そこで、音楽を作りました。絵や文のような高い前提や敷居が無くても、誰にでも分かるからです」

〔ああ、それなら貧民窟から這い出た蛆虫みたいな奴でも出来るからな(嘲)〕

「でも駄目でした。両親に素養があり土着音楽やクラシックや洋楽などを聴く環境も無ければ、
 絶対音感を養う英才教育を受けた訳でもなく、音大に行ける帰国子女のインテリ等でもなかったからです」

〔さっきから出てくるやけに具体的な例は何なんだよ(嘲)音感無えのは救いようが無えだろ(嘲)〕

「結局、何をやっても駄目でした」

〔態々やらなくて済む理由を探して一々理屈付けてるだけだろうが(嘲)〕

「何にしても、あらゆる物事は進んだ・優れた・恵まれた人がやっていればいいのであって、
 遅れた・劣った・貧しい人は、何をやっても彼らには敵いません。無意味で、無駄です」

〔おお、その謙虚な自覚だけは褒めてやるよ(嘲)〕

「初めから決まっていた、惨めな人生です」

〔惨めでウダツが上がらねぇのはてめえが好き好んで選択してきたんじゃねえか(嘲)〕

「その通りです。私の現状は、私の過程が蓄積した結果です。
 各々が持つ素養や環境を活かして出来うる限り極大化して生きる、というのは正しい事ですから、
 私の嫉妬や憎悪はあくまで私個人の問題で、
 ”恵まれた奴ら”や”成功している奴ら”とは無関係だと分かってればこそ、
 ルサンチマンを”奴ら”に向ける事もしません」

〔そうだよ、間違ってもカトークンみてえな馬鹿な自棄やらかすんじゃねえぞ(嘲)〕

「凡その犯罪は、”短絡”が引き起こします。
 通常、人が欲望を実現する為に必要な手続きを無視・省略する違法行為が犯罪です。
 法治国家に暮らす限り、合法的な手続きで欲望を実現し、矛盾や破綻の無いようにしなければいけません。
 実現が難しければ、可能な限り害の少ない適応規制で欲望を片付けるしかありません」

〔無い脳味噌で上出来だよ(嘲)カスはカスらしく日陰の隅っこで生きな(嘲)〕

「そこで次に『この惨めな人生を如何に生きるか』という問題があります」

〔どう生きようが誰も気にしちゃいねえよ(嘲)奴隷愚民は黙々と僕ら公務員に血税献上してりゃいんだよ(嘲)〕

「まず、何故『惨め』を感じるのか?他者との比較によってです。
 優劣、速遅、貧富、多少、あらゆる判断は比較から発生します。
 その比較の基準は私自身です、そこには盲目的な”自我”への執着があります。
 今私に分かるのは、自分が”自我への執着心が強い下種である”という事です。
 その他の言葉は『整合性を得る為の説明』に過ぎません」

〔終にイカレたか?(嘲)しかも随分と気持ち悪い卑下だね(嘲)
 悲惨な過去による心の闇の深層の内なる声が万能神となって新世界の啓示を囁いたのか?(嘲)〕

「私はまず知的な劣等感を片付ける為、4月から通信の大学で勉強する事にしました」

〔現役の大学生は勿論、東大京大やら法政早稲田なんかの高学歴からしたら、
 お前のやろうとしてる事なんて知恵遅れのママゴトだろうよ(嘲)〕

「どうしてそう非道い事を言えるのでしょうか」

〔お前より進んだ・優れた・恵まれた人間だからだよ(嘲)〕

「私には好きなものもありません。何にも興味が湧きません。
 しかし黙っていては”他人によって滅ぼされる”のが今の日本です」

〔誰と戦ってんだよお前は(嘲)寄生獣でも降ってくんのか?(嘲)〕

「私の興味が何かに触れるまで、勉強するだけです」

〔そういうのは学生のうちに済ましておくんだよ(嘲)何の為の義務教育だよ低脳(嘲)〕

「いつから始めても構わない筈です」

〔まあ、そうやって誤魔化して生きてくのも自己責任(笑)だよ(嘲)〕

容疑者が部屋を退室する間際、
取調官は彼の背中に唾を吐き掛けて大きく笑った。



そういう訳です。