年が明けようが明けまいが

画【アンダマン諸島の少年】


曲【Unz-Aly】
http://voon.jp/a/cast/?id=6x0lpa0k&c=1&t=1



やっぱり無駄なんだ。





―――「私が最も恐れているのは、他人の正義」
溶樹の絡まった石塀にホースで水を掛けると、朝陽が火花のように反射した。
「だって母さん、彼らは『もしかしたら自分が間違っているかも知れない』なんて微塵も考えていないんだわ!」
ミミー・アンナはシリー・アンナのスカートにしがみ付いて言った。
「それが誰かを殺す結果になったって!」
カッポジッテが黙々と手押しポンプを漕ぐと、
井戸に装飾された八瘤の取っ手の”ヰ”の焼印から霧が吹き出される。
「でもね。仕方がないじゃない」
竿にぶら下がる色とりどりのハンケチーフが蒼天に拍手喝采を送った。
「私もあなたも、それを望んでるんだから」
屋根の風見鶏が14羽とも一様にソッポを向き、裁縫糸で繋がれた紀州犬は空中分解した。
殺虫剤の粉末にのたうつムカデをシラコバトが啄ばみ、
そのシラコバトを憔悴したイボイノシシが銜え、
そのイボイノシシを放水で追っ払ったシリー・アンナは
朝食の準備の為、家に戻っていった。―――

(『Mimy-Anna and Coppogitte 〜Silly Anna with black eyelid〜』第1章より)